文献詳細
文献概要
症例
左前頭蓋窩を占拠した後部副鼻腔Pyoceleの1治験例
著者: 長沢史朗12 佐藤慎一1 伴貞彦1 長久雅博1 犬塚楢夫1 山本豊城1 尾形誠宏1
所属機関: 1神戸市立中央市民病院脳神経外科 2京大病院脳神経外科
ページ範囲:P.1349 - P.1355
文献購入ページに移動後部副鼻腔,すなわち後部篩骨洞および蝶形洞は外界と隔離されているためか,あるいは解剖学的構造が複雑なためか,前部副鼻腔に比較して炎症性疾患も少なく,またそこに原発する疾患も少ない.しかし,後部副鼻腔に病変が発生しても,洞そのものよりの症状は少なくかつ潜在化し,隣接諸組織に影響が及んで初めて顕在化するので,診断が困難な場合が多い.またその際,病変の進展方向が変化に富んでおり耳鼻科,眼科,脳外科の境界領域をなすために,その病態の把握にも困難な場合が少なくない.
我々は今回,左眼球突出を主訴とし精査の結果,左眼窩,左前頭蓋窩に進展していた左後部副鼻腔pyoceleを経験した.症状が興味深く,かつ耳鼻科,眼科,脳外科の境界領域の疾患として鑑別診断上重要と思われたので,若干の文献的考察を加えて報告する.
掲載誌情報