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症例
うっ血乳頭を伴う脊髄腫瘍
著者: 佐藤秀次1 稲葉憲一1 末松克美1
所属機関: 1札幌医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1371 - P.1376
文献購入ページに移動うっ血乳頭などの頭蓋内圧亢進症候は通常頭蓋内占拠性病変の存在を示唆するが,まれには脊髄腫瘍が本症候を伴って発症することがある.後者の場合,頭蓋内圧亢進症候とともに脊髄病変の存在を示唆する局所症状が併存する時には,その診断にはさほどの困難はないが,頭蓋内圧亢進症候が前景に立ち,かつ脊髄症状が軽微であったり,あるいは全く欠如している場合には脊髄レベルの病変に思いが至らず,開頭手術が行われたり,診断が著しく遅延して,適切な治療開始時期を逸することが少なくない.
著者らはこのような脳圧亢進症候を主景として発症した脊髄腫瘍を経験したので報告するとともに,文献例を検討し,この特異な発病様式を示す脊髄腫瘍に対する早期診断の手がかりを述べ,さらに本症例における脳圧亢進症候の発生機転につき若干の文献的検討を加わえた.
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