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症例
思春期早発症を示した松果体部絨毛上皮腫の1治験例
著者: 大橋威雄1 三宅幾男1 島村裕1 原田泰弘1 大本堯史1 西本詮1 高原二郎2
所属機関: 1岡山大学脳神経外科 2岡山大学第三内科
ページ範囲:P.1377 - P.1383
文献購入ページに移動頭蓋内に原発する生殖細胞由来の腫瘍のうち,松果体部germinomaは,特に本邦に多くみられる脳腫瘍であるが3,11,17,20),絨毛上皮腫はまれで,現在まで約47例の報告がみあたる程度である1,2,3,5,6,9-12,15,24,26,27).しかし本腫瘍はhuman chorionic gonadotropin(HCG)産生;思春期早発症をきたす興味深い腫瘍で,脳性思春期早発症の原因の1つとしての腫瘍分泌説をうらづけるものでもある1,2).他方本腫瘍は臨床的に悪性で,既報告例はすべて早期に死亡しているが,産婦人科領域などにおいては,これら絨毛性腫瘍に対する化学療法はほぼ確立されており,良好な結果が得られている8,13,19,22).我々は松果体部に原発した絨毛上皮腫でHCG異常高値,思春期早発症を示した12歳男児例を経験し,手術,化学療法および放射線療法を行い長期の寛解が得られたので若干の考察を加えて報告する.
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