文献詳細
文献概要
研究
脳神経外科領域におけるstress ulcer—とそのwarning data
著者: 大井静雄1 大井美行1 玉木紀彦1 苧坂邦彦1 松本悟1
所属機関: 1神戸大学脳神経外科
ページ範囲:P.125 - P.132
文献購入ページに移動上部消化管山血の中枢性要因については,1841年Rokitanski18)によりはじめて指摘され,さらに1931年Cushing4)の発表で,大きくその研究が進展するに至った.そして,数多くの実験に基づいて,高位中枢の刺激が上部消化管出血を生ぜしめることが実証され4,6,7,13),Selye19)の1948年のgeneral a(laptation syndrolneと名づけた一連のstressの学説も加わり,今日では上部消化管出血は,情動ストレスと関係した代表的な心身症の1つとされている.
一方,脳神経外科領域において,術後あるいは手術と関係なく,脳疾患を有する患者に,上部消化管出血がみられることもけっして稀でなく,しばしばその予後を左右する要因にもなっている.そして,これについては,脳疾患そのものの局在性や手術侵襲,副腎皮質ホルモンの投与,消化性潰瘍の既応,などの見地から主に検討されてきたが2-4,6,7,9,13,14,17,18,21),実際に臨床面では,それを未然に予測することは,いまだに困難である.われわれはこの観点より,自験例を文献的考察を加えて検討した.
掲載誌情報