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研究
ラット実験的脳水腫—作成法
著者: 山木垂水1 小竹源也1 成瀬昭二1 井端泰彦2 野条良彰2 松浦忠夫2
所属機関: 1京都府立医科大学脳神経外科 2京都府立医科大学解剖学教室
ページ範囲:P.537 - P.540
文献購入ページに移動実験的脳水腫には先天的なものと,後天的なものがある.先天的なものは,主としてラットの母体に種々の奇形誘発物質を投与することによって作成される.一方,後天的なものは1914年DandyとBlackfan3)がイヌの中脳水道に綿片を挿入して脳水腫を作って以来,種々の動物で脳室,中脳水道,大槽内へ化学物質を注入したり,バルーンで髄液路を閉塞したり,静脈系を結紮したりすることによって作成されている.
しかし,これらのほとんどがイヌ,ネコ,ウサギ,サルなどの比較的大きな動物で作られており,脳水腫の脳全体を組織学的に観察するには,難点がある.そこで我々はもっと手軽に利用できる小動物としてラットを用い,後天的脳水腫を作ろうと考え,近年進歩した手術用顕微鏡を利用することにより高頻度にこれを作りえたので,ここに若干の歴史的考察を加えて報告し,将来の髄液産生,流通,吸収機構の究明に役立たせようとした.
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