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症例
Cryptococcal meningitisの1例
著者: 生塩之敬1 堀正泊1 無留井宏昌1 金井信博1 滝本昇1 渡部優1 最上平太郎1 森信太郎2 魚住徹2 松本圭史3
所属機関: 1大阪大学脳神経外科 2広島大学脳神経外科 3大阪大学第2病理
ページ範囲:P.603 - P.609
文献購入ページに移動cryptococcusは中枢神経系に強い親和性を有し,難治性の致命的な髄膜炎を惹き起こす真菌として恐れられてきた,amphoterlcin Bあるいは5-fluorocytosineによりて治癒したという報告もしだいに増加してはいるが1),きわめて激症で治療効果なく死亡したという報告も決して少なくはない.
我々が経験した1例も脳腫瘍の疑いで脳神経外科を受診し,脳腫瘍としての診断学的検査および頭蓋内圧亢進に対する対症療法を受け,cryptococcusが発見,同定され,診断が確定した時点においては既に病勢が進行し治療により救命できなかった.本例は頭蓋内圧亢進を常に頭蓋内の粗大な占拠物に帰して考える傾向のある我々脳神経外科医の1つの盲点を突かれた症例であって,診療上の反省と問題点を明らかにする意味から報告する.
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