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文献概要
症例
両側大脳半球前半部を占拠した新生児脳膿瘍の1治験例
著者: 曾我部紘一郎1 岡本頼治1 上田伸1 松本圭蔵1 橋本俊顕2 日浦恭一2
所属機関: 1徳島大学脳神経外科 2徳島大学小児科
ページ範囲:P.641 - P.646
文献購入ページに移動脳膿瘍は決してまれな疾患ではないが,化学療法の進歩とともにしだいに減少し,その予後も明るいものとなってきつつある.しかし新生児にみられるものはきわめてまれであり,かつ文献的にみる限りその予後は非常に重篤である.その診断については適確な方法がなく,穿刺などで偶然に発見される場合が多い.また感染経路についても多くの場合不明である.救命しえた例も文献的にみる限り世界でわずか10例にすぎないようである1,3,4).救命例のほとんどの例でshunt手術を必要としているが,いかなる時点でshunt手術を施行するかについても髄液蛋白量増加の問題もあり,暗中模索されているのが現状である.
このたび我々は生後6日目に痙攣発作で発症し両側大脳半球前半部を占拠した巨大な脳膿瘍で,しかも救命しえた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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