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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科5巻6号

1977年06月発行

文献概要

症例

脳室穿破した脳膿瘍の1治癒例—EMIスキャン所見を中心に

著者: 井沢正博1 加川瑞夫1 喜多村孝一1

所属機関: 1東京女子医大脳神経センター脳神経外科

ページ範囲:P.673 - P.680

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Ⅰ.はじめに
 現在においても脳膿瘍の治療成績は必ずしも満足すべき状態ではなく,治療面にもいまだ種々の問題を残している.なかでも膿瘍の脳室穿破は最も忌むべき合併症であるとされている.従来,脳膿瘍の脳室内穿破は脳室上衣炎,pan-meningoencephalitisなどをひき起こし,致命的な経過をとることが多かった2,6,8,13,18).しかしながら最近,治療の進歩によりさらに脳膿瘍の膿にはsterile pusが多くなり,穿破した脳膿瘍のとる病態にも変化がみられている.
 脳膿瘍の脳室内穿破に関する報告は比較的少なく,特に治癒例の報告は著者らの知る限り,本例を含めて8例5,14,15,20)ときわめて少ない.著者らは最近,脳室内に穿破した脳膿瘍を全治せしめた1症例を経験した.この自験例の脳血管撮影所見,conray cistogram,EMIスキャン所見を中心にのべてみた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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