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研究
意識障害患者における前庭眼反射の診断学的意義についての検討
著者: 斎藤武志1 大和田隆1 矢田賢三1 徳増厚二2
所属機関: 1北里大学脳神経外科 2北里大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.725 - P.731
文献購入ページに移動近年,神経耳科学の進歩発展に伴い,平衡機能検査が,中枢神経疾患の検査法の1つとして広く利用されるようになり,その診断学的意義も明らかになりつつある.
1910年,Rosenfeld15)は温度刺激による前庭眼反射検査を意識障害患者に実施し,本反射が意識レベルとの間に相関性のあることをはじめて指摘した.さらに1952年,Klington8)は昏睡患者における本反射を調べ,病理所見とともに報告した.Klingtonの報告後,いくつかの報告がなされている1〜4,12).いずれも種々の原因による意識障害患者に対してice waterあるいは冷水注入法による前庭眼反射検査を行い,4ないし5種類の反応型が認められることを指摘している.しかしこれらの反応型とくわしい意識レベルとの相関性に関しては全く検討されていない.今回,著者らは,本検査の反応型が(1)意識レベルの客観的指標となりうるかどうか,(2)予後を推定する指標となりうるかどうか,を明らかにすることを目的として,種々の原因による意識障害患者に対して前庭眼反射検査を行い検討した.
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