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研究
脳腫瘍におけるComputerized Axial Tomographyの診断力—特にその多発性の診断と脳血管撮影および脳スキャンとの比較
著者: 大井静雄1 Joseph H.2
所属機関: 1神戸大学脳神経外科 2
ページ範囲:P.833 - P.840
文献購入ページに移動頭蓋内腫瘍において続発性腫瘍のみならず,原発性脳腫瘍においてもそれが(播種性)転移によるものであるにせよ多発性に病巣が見られることは決してまれなことではない25).脳神経外科の領域において腫瘍が多発性か否かの診断,そしてさらにその病巣の数,部位,およびその特徴を知ることはその手術適応,手術方法さらには術後の治療方針を決定するうえできわめて重要なことである.
この診断に際しては,神経放射線学的補助診断法が最も信頼できる検査として用いられているのはいうまでもないが,1969年より開発の進められたComputerized Axial Tomography1,13,21)(以後CT scanと略)の導入により従来の神経放射線学的診断法の手順大きな変化がみられている6).そしてCT scanが臨床に応用されて4年が経過し,多くのearly evaluation4,5,9,14,15,17,18)が報告された今,CT scanの診断力の正確な評価と従来の検査法のそれぞれの特徴の再認識が要求される時点にある,Fig.3は左前頭葉に発生した一塊の神経膠腫(膠芽腫)でCT scanでの診断は多発性転移脳腫瘍とされた例である.CT scanのaxial viewの分析という特徴は逆に上下の構造分析においての弱点でもある,ここに自験の多発性の脳腫瘍24例(67病巣)につき,その個々の特徴とCT scanを中心としたその神経放射線学的診断力とを比較検討した.
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