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症例
細菌性脳動脈瘤の1例
著者: 種村廣巳1 坂井昇1 山森積雄2 山田弘2
所属機関: 1大雄会病院脳神経外科 2岐阜大学第2外科
ページ範囲:P.871 - P.875
文献購入ページに移動脳動脈瘤の発生原因は通常,先天性,動脈硬化性,細菌性,外傷性などに分けられているが,そのうち細菌性脳動脈瘤は,その発生頻度が2.5-6.2%8,15)といわれ比較的稀で,抗生物質の進歩とともにさらに減少しつつある.まだ一般の先天性要因に基盤をおく脳動脈瘤と異なって,基礎疾患の存在,好発部位,好発年齢などの点で種々の特性があり,その治療方針も抗生物質の大量投与のみで動脈瘤が消褪するという報告4)もあり,必ずしも外科的治療のみを推奨する音ばかりではない点など興味深いところが多い.
最近,我々は臨床所見および摘出動脈瘤壁の病理組織所見からみて,リウマチ性心内膜炎に合併したと悪われる,左中大脳動脈のprecentral cerebral artery末梢に発生した細菌性脳動脈瘤の1例を経験した,本邦における最近の細菌性脳動脈瘤の報告例は,これまでに我々が集計しえた限りでは,自験例を含め9例であり,それらを含めて文献的考察を加えたい.
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