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研究
悪性脳腫瘍患者の細胞性免疫—とくに髄液リンパ球のsubpopulationに関する研究
著者: 植村正三郎1 和田伸一1 児玉万典1 松角康彦1
所属機関: 1熊本大学脳神経外科
ページ範囲:P.931 - P.939
文献購入ページに移動化学発癌物質(methylcholantrene)を用いたKlein10)らの実験以来,腫瘍特異的移植抗原(tumor specific transplantation antigen, TSTA)に関する研究5,6,17,22)は急速に進歩し,さらにそのTSTAに対して免疫監視機構(immunological surveillance)が働いている事実を裏づける報告も多くみられる.腫瘍免疫(tumor immunity)において,発癌過程,担癌状態における免疫機構の解析も注目されているが,一方,免疫担当細胞であるリンパ球のT-cell(thymus dependent cell),B-cell(bone marrow dependent cell)のsubpopulationが明らかにされ33,34)個々のpopulationの機能分化,共同作用の解析もすすんでいる.
細胞性免疫(cellular immunity)が関与する腫瘍抵抗性の成り立ちは,TSTAに対する特異免疫により,腫瘍細胞が破壊されることが最も大きな要因と考えられる7,31)が,とくにそのeffecter cellとしてT-cellが大きな役割をはたしているといわれる.またB-cellが関与する液性抗体(humoral antibody)の細胞障害性抗体としての役割は,特殊な場合を除いて,むしろ少ないといわれている.
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