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特集 STA-MCAバイパス術—日本が世界に誇る技を学ぶ Ⅳ各病院におけるSTA-MCAバイパス術の工夫 Short Topics
STA-MCAバイパス術の工夫—切開縁吊り上げ法:血管開口部を立体的に開大させるために
著者: 村田英俊1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学脳神経外科学
ページ範囲:P.842 - P.844
文献購入ページに移動1.はじめに
浅側頭動脈(superficial temporal artery:STA)-中大脳動脈(middle cerebral artery:MCA)バイパス術をはじめとした脳血管バイパス術は,重要な基本手技の1つである.しかし,もやもや病などの極めて菲薄化した血管や0.8 mm以下の細い血管では,血管裂傷や裏縫い,血栓形成のリスクが高まり,吻合の難易度は増す.そのような血管に対して,recipientの切開縁を吊り上げる「吊り上げ法」(lifting method)を施行している.同方法の手技を紹介し,その効果を検証した.
*本論文中、[Video]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年8月まで)。
浅側頭動脈(superficial temporal artery:STA)-中大脳動脈(middle cerebral artery:MCA)バイパス術をはじめとした脳血管バイパス術は,重要な基本手技の1つである.しかし,もやもや病などの極めて菲薄化した血管や0.8 mm以下の細い血管では,血管裂傷や裏縫い,血栓形成のリスクが高まり,吻合の難易度は増す.そのような血管に対して,recipientの切開縁を吊り上げる「吊り上げ法」(lifting method)を施行している.同方法の手技を紹介し,その効果を検証した.
*本論文中、[Video]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2025年8月まで)。
参考文献
1)Miyazaki R, et al:Incision edge “lifting method” in cerebral bypass surgery:a novel optional technique for narrow or thin recipient arteries. World Neurosurg 141:196-202, 2020
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3)小野秀明,他:血管吻合・バイパス術を安全確実に行うための工夫.脳卒中の外科 47:1-5, 2019
4)太田仲郎,他:頭蓋内血行再建を安全確実に行うための原則と工夫.脳卒中の外科 45:425-431, 2017
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8)Korber KE, Kraemer BA:Use of small-caliber polytetrafluoroethylene(Gore-Tex)grafts in microsurgical training. Microsurgery 10:113-115, 1989
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