icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科50巻4号

2022年07月発行

文献概要

特集 STA-MCAバイパス術—日本が世界に誇る技を学ぶ Ⅳ各病院におけるSTA-MCAバイパス術の工夫 Short Topics

岐阜大学医学部附属病院におけるSTA-MCAバイパス術の工夫—線状切開下ダブルバイパスにおける皮膚切開の工夫

著者: 榎本由貴子1 吉村紳一2

所属機関: 1岐阜大学脳神経外科 2兵庫医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.845 - P.846

文献購入ページに移動
1.はじめに
 浅側頭動脈(superficial temporal artery:STA)-中大脳動脈(middle cerebral artery:MCA)バイパス術は皮弁血流を犠牲にして脳血流を増加させる治療であるため,周術期創部合併症のリスクは不可避である.STA剝離後の皮弁血流は帽状腱膜や骨膜,後耳介動脈などSTA以外の外頚動脈枝から供給されるため,これら周囲の代替血流源の進入路を温存する皮膚切開法が好ましい.
 皮弁血流温存を第一に考慮すれば線状切開法が最も適しているが,通常はSTA頭頂枝のみのシングルバイパスに用いられる術式であり,STA前頭枝と頭頂枝の両方をdonorとするダブルバイパスの場合にはSTA前頭枝の採取長が不足しがちである.STA前頭枝の分岐高位・走行は個人差が大きく,時には採取できない場合や,長く採取しようとしてT字に切り込むと中央部の創部癒合不良を来す可能性がある.STA-MCAバイパス術後の創部合併症は難治であることが多く,時には皮弁壊死,骨弁感染など再開頭を要する重篤合併症となる可能性があるため,これらの発生を回避しつつ,吻合に足る十分な長さのSTA前頭枝を採取し得るデザインが必要である.

参考文献

1)Yoshimura S, et al:Superficial temporal artery to middle cerebral artery double bypass via a small craniotomy:technical note. Neurol Med Chir(Tokyo)50:956-959, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?