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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科50巻4号

2022年07月発行

文献概要

特集 STA-MCAバイパス術—日本が世界に誇る技を学ぶ Ⅳ各病院におけるSTA-MCAバイパス術の工夫 Short Topics

佐々総合病院におけるナビゲーションを用いたSTA-MCAバイパス術—脳梗塞急性期STA-MCAバイパス術の手技と工夫

著者: 鈴木遼1 福田直1 橋本秀子1 高橋祐一1 稲津哲治2 田中智章2 湯本茂智2 佐々木裕太2 薄井直2 那須美香3

所属機関: 1佐々総合病院脳神経外科 2佐々総合病院放射線科 3佐々総合病院手術部

ページ範囲:P.870 - P.873

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1.はじめに
 当院では前方循環主幹動脈の閉塞または高度狭窄を背景とした急性期脳梗塞に対して,浅側頭動脈(superficial temporal artery:STA)-中大脳動脈(middle cerebral artery:MCA)バイパス術を施行することで頭蓋内循環動態の不安定性を軽減し,術後早期から急性期リハビリテーションを開始し機能予後の向上を図っている.脳梗塞急性期にSTA-MCAバイパス術を行う際の「確実」「低侵襲」「短時間」を意識した手術手技と工夫を報告する.
 1)確実:血行動態が不安定な症例を対象とし,手術により早急かつ確実に血行動態を安定化させることが必須である.
 2)低侵襲:脳梗塞急性期は抗血栓薬を使用していることが多く,術中術後出血のリスクが高いため皮膚切開,筋肉切開,開頭などを最小限にすることが望ましい.
 3)短時間:脳梗塞急性期かつ血行動態が不安定な症例に手術をするにあたっては,吻合時の遮断時間のみならずskin to skinでの手術時間短縮が望ましい.

参考文献

1)上山博康:STA-MCAバイパス術.森田明夫,他(編):新NS NOW Neurosurgery 1バイパス術のすべて 次世代への技術の継承.メディカルビュー社,東京,2015, pp. 56-57
2)寳金清博(編):脳血行再建術改訂2版.中外医学社,東京,2016, pp. 6-8
3)寳金清博(編):脳血行再建術改訂2版.中外医学社,東京,2016, pp. 18-20
4)鈴木 遼,他:確実な吻合と開存を目的とする,STA-MCA Bypass術の手技的工夫—経験の浅い若手脳神経外科医でも高い成功率を.脳卒中の外科 47:290-295, 2019
5)Kamiyama H, et al:Visualization of ostium of an arteriotomy in bypass surgery. Neurosurgery 33:1109-1110, 1993
6)太田貴裕,他:STA-MCA bypassに時間がかかる要因の検討—若手はどこで時間をロスするのか.脳卒中の外科 42:127-131, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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