Neurological Surgery 脳神経外科50巻6号

2022年11月発行

特集 小児脳神経外科—エキスパートはこうしている Ⅰ小児の周術期管理と鎮静

小児の鎮静MRI検査にまつわる諸問題と今後の方向性

著者： 下川尚子¹

所属機関： ¹久留米大学医学部脳神経外科学講座

ページ範囲：P.1141 - P.1149

Point
・鎮静処置には呼吸不全や心停止の危険があり，「リスクのない鎮静はない」と認識しなければならない．
・「MRI検査時の鎮静に関する共同提言」はあるべき姿を示している．熟知しよう．
・鎮静MRI検査を安全に実施するとともに，薬に頼らない鎮静（無鎮静）で検査できるように努める．

参考文献

1）日本小児科学会，日本小児麻酔学会，日本小児放射線学会：MRI検査時の鎮静に関する共同提言．日本小児科学会雑誌 124：771-805, 2020

2）Karian VE, et al：The development of a pediatric radiology sedation program. Pediatr Radiol 32：348-353, 2002

3）日本小児科学会小児医療委員会：MRI検査を行う小児患者の鎮静管理に関する実態調査．日本小児科学会雑誌 117：1167-1171, 2013

4）Kuga S, et al：Pediatric procedural sedation in Japan：a single-facility study of 1,436 cases. Pediatr Int 62：1346-1350, 2020

5）公益財団法人日本医療機能評価機構医療事故防止事業部：第57回報告書（2019年1月〜3月）．2019, pp. 32-43　https://www.med-safe.jp/pdf/report_57.pdf（2022年2月21日アクセス）

6）是松聖悟，山内秀雄：「MRI検査時の鎮静に関する共同提言」からの発展と課題．脳と発達 48：107-110, 2016

7）Kannikeswaran N, et al：Sedation medication receivedand adverse events related to sedation for brain MRI in children with and without developmental disabilities. Paediatr Anaesth 19：250-256, 2009

8）山中　岳，他：小児科専門医研修施設におけるMRI検査時鎮静の現状．日本小児科学会雑誌 11：1920-1929, 2017

9）藤田和俊，他：小児画像診断における鎮静 本邦での現状と問題点—続報 小児科医，小児外科医へのアンケート結果から．日本小児放射線学会雑誌 23：25-32, 2007

10）下川尚子，他：National Databaseオープンデータ及び外来サンプリングデータ解析で明らかにする本邦の小児鎮静MRI検査の実態．脳と発達 54：323-329, 2022

11）Hoffman GM, et al：Risk reduction in pediatric procedural sedation by application of an American Academy of Pediatrics/American Society of Anesthesiologists process model. Pediatrics 109：236-243, 2002

12）キヤノンメディカルシステムズ株式会社：ポケモンといっしょにMRIけんさのようすをみてみよう！ 2021　https://jp.medical.canon/general/mri_pediatrics（2022年6月19日アクセス）

13）バイエル薬品株式会社：シロクマンのMRIアドベンチャー．2020　https://radiology.bayer.jp/properuse/tool/shirokuman（2022年6月22日アクセス）

14）是松聖悟，山内秀雄：小児神経領域の医療安全を求めた更なる取組．脳と発達 51：193-195, 2019

15）渡邉拓史，他：小児患者におけるプリパレーションを用いた無鎮静でのMagnetic Resonance Coronary Angiographyの有用性．日本小児放射線学会雑誌 35：27-31, 2019