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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科6巻1号

1978年01月発行

文献概要

研究

悪性腫瘍の頭蓋内転移—Parenchymal type,Leptomeningeal type,Diffuse typeの分類とその臨床的意義(第1報)Clinical Manifestations

著者: 大井静雄1

所属機関: 1神戸大学脳神経外科 2

ページ範囲:P.29 - P.37

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Ⅰ.緒言
 悪性腫瘍の頭蓋内転移は全剖検例の0.29-17.6%34)にみられ,頭蓋内腫瘍の4.0-23.8%9)を占めており,また頭蓋外悪性腫瘍の17%前後1,11)は中枢神経系へ転移する,悪性腫瘍の頭蓋内転移はそれ自体が予後の決定因子の1つとなりその生存年月を著しく短縮するが,近年脳実質内の転移巣に対して限られた範囲内ではあるが積極的治療が試みられ多少なりとも延命効果がみられるようになってきた10,20,33,39,40)
 一方同じく頭蓋内転移ではあるが脳実質内転移ときわめて異なる臨床症状,経過そして予後を有するいわゆるmeningeal carcinomatosisあるいはcarcinomatous meningitisについては,1870年のEberthの報告以来稀なものとされてきたがOlsonらの報告32)をはじめ最近になり急速にその認識が高まってきた.急速に進行し予後の不良なこの種の頭蓋内転移,あるいは脳実質内病巣と髄膜浸潤の合併した例などをいかに診断し治療すべきか.悪性腫瘍の頭蓋内転移に対してその延命効果を期待し可能な限りの治療に取り組む上で,これらの相異なった頭蓋内転移の病態を把握しおのおのの適切な治療方針を打ち立てることはきわめて重要なことと思われる.我我はこの観点から頭蓋内転移の病態を3型に分類し,第1報としてその臨床像を文献的考察を加えて比較検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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