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研究
側脳室腫瘍の症候と臨床的特徴
著者: 久山秀幸1 藤本俊一郎1 長尾省吾1 野坂芳樹1 大本堯史1 西本詮1
所属機関: 1岡山大学脳神経外科
ページ範囲:P.39 - P.48
文献購入ページに移動側脳室腫瘍は脳腫瘍のなかでもまれなものとされ,Dandyによれば全脳腫瘍中0.75%5),Laprasは3.7%11)と報告している.1918年Dandyにより空気脳室撮影が行なわれるようになってからは,比較的容易に診断されるようになったが,側脳室腫瘍は一般に症状が不定で頭蓋内圧亢進症状だけのことが多く,臨床上神経学的検査のみでは診断のつき難いものとされている16).
今回当教室において昭和23年より昭和50年12月までに(昭和23年から昭和41年3月までは岡山大学第一外科,それ以降岡山大学脳神経外科),手術により腫瘍の存在部位を確認し,腫瘍が側脳室内に限局していたもの,あるいは側脳室近傍より発生し腫瘍の大部分が側脳室内に発育進展していたものを側脳室腫瘍として診断および治療の面から臨床的に検討したところ,好発年齢・発生部位・症状にかなり特徴がみられたのみならず,手術方法,術後合併症などについても留意すべき点が2,3認められた.そこでまず側脳室腫瘍の診断および経過の概略を理解する一助として代表的な2症例を呈示し,次いで側脳室腫瘍について諸家の報告と比較し若干の文献的考察を加えて報告する.
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