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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科6巻1号

1978年01月発行

文献概要

症例

自然消滅をみたSinus pericraniiの1例

著者: 早川勲1 佐々木皎1 藤原一枝1 柳橋万之1 佐々木亮1 平田輝昭1 土田富穂1

所属機関: 1東京都立墨東病院脳神経外科

ページ範囲:P.91 - P.95

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Ⅰ.はじめに
 頭蓋骨膜洞Sinus pericranii(Stromeyer,1850)13)は頭部の特異な血管性腫瘤の一つとして知られている.本症は名称に対する考え方の問題もあると思われるが,ヨーロッパ系の文献には比較的よく報告されているが,アングロサクソン系の文献にはあまりとりあげられていないようである.本邦においても,本症の報告は比較的最近のことで,その報告例は尚10指にみたない.報告の少いのは,本邦で実際に本症が少いことなのか,あるいは重大な障害となることが少いためにわれわれ脳神経外科医の目にふれずにすぎ,いつの間にか自然治癒してしまっているものが多いためなのか判断しかねる処である.過去の報告例をみても.確定診断されたのは概ね成人になってからで,新生児期あるいは乳児期に本症を確定診断したものはみあたらない.しかし,本症の病理を考える場合,このものが出生と同時にすでに存在する場合があると考えるのは不自然ではなく,ただ症例によって,その後腫瘤が退縮傾向を示すものと,そうでなく長く残るものとがあると考えられる.
 われわれは出生後間もなく本症と診断し,その後7年余にわたってfollow-upした処,完全に腫瘤の消失をみた1例を経験したので,本症に自然治癒する場合のあることを強調するとともに,とくに新生児期にあっては頭血腫との鑑別診断に留意する必要があると考え報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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