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研究
前交通動脈瘤症例のWillis動脈輪前半部血流動態—脳血管写による検討
著者: 郭隆璫12 大井隆嗣1 新妻博1 鈴木二郎1
所属機関: 1東北大学脳疾患研究施設脳神経外科 2金沢医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1065 - P.1069
文献購入ページに移動脳動脈瘤の大半はWillis動脈輪に発生する.しかもそれらの症例においてはWillis動脈輪の奇形や血流動態異常を伴うものが多いことが指摘されている2,6,7,11).
われわれはすでに前交通動脈瘤症例におけるWillis動脈輪前半部の奇形または血流動態異常が約80%に認められ,またその前大脳動脈A1部の形成不全は約80%が右側にあることを報告8)した.これらの事実はWillis動脈輪前半部の血流動態異常がこの部の動脈瘤の発生に重大な役割を果たしており,一方この事実は前交通動脈瘤の脳血管撮影からの診断,および外科的接近の操作上において有用であることをも指摘した.その後,1975年9月までにわれわれの直接手術症例は1,000例に達したのでそれらの症例の脳血管写像を詳細に検討したところ,Willis動脈輪前半部の血流動態異常は前交通動脈瘤症例に特異的に多いことが更に明らかになったので報告する.
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