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文献概要
症例
右側脳室モンロー孔近傍に発生したsubependymomaの1例
著者: 曾我部紘一郎1 本藤秀樹1 日下和昌1 松本圭蔵1
所属機関: 1徳島大学脳神経外科
ページ範囲:P.1097 - P.1101
文献購入ページに移動脳室上衣細胞層直下には緻密な線維網にうもれて,小さな核と原形質に乏しいglia細胞の集団が細胞床をなして存在する.そして,おそらくこれを発生母地としたものと思われる1つの腫瘍が存在することが知られている.この種の腫瘍は表在性で脳室内につきでた形となることが多く,その組織像はastrocytomaともependy-momaとも言い難く,結局,subependymoma12)という新しいentityを作ってこれに入れざるをえないとする考え方が支配的である.さらに,このsubependymomaはその予後が良好である点からもgliomaの中で特殊なものとして位置づけられ,良性腫瘍のarrested stageのものとか,一種のhamartomaと考える人さえある。また,脳神経学的には全摘出により完治可能なものとしてはなはだ興味がある.しかし,文献上からみると,剖検により偶然発見されたものをのぞけば,側脳室内にあって,しかも単発的で,手術により全摘出され,組織像からsubependymomaと診断された例はきわめて稀である.
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