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評価
著者: 竹内一夫1
所属機関: 1杏林大学脳神経外科
ページ範囲:P.1133 - P.1134
文献購入ページに移動 何事によらず正しく評価することはむずかしい.古来,枢の蓋をとじてからでないとできないのが人物評価であり,医学論文でさえ著者の没後になってはじめて注目されることもある.われわれの脳神経外科領域でも,新検査法や新治療法が次々と発表されるが,10年後に残っているものは僅かである.もちろん日進月歩の領域なので,必らずしも姿を消したものがすべて悪いわけではないが,少なくともその時点においてはできるだけ正確な評価をしたいものである.しかし学会のプログラム委員や雑誌の編集委員として,多くの論文に接するたびに正しい評価の困難なことを痛感している.
筆者が永い間専攻してきた悪性脳腫瘍の補助療法についても,未だに正しい評価法の設定に悩まされている.この場合は現在のところ補助療法による延命効果によって評価するのが,もっとも客観的であり,しかも手っ取り早いとされている(Bering, E.A.,Jr, et al.,1967).たしかに速中性子線の照射により,膠芽腫組織が完全に破壊できるようになったが,延命効果に関する限りコバルト照射と大差がないという報告もある(Parker, R.G.,et al.,1976).この論文をみても膠芽腫の治療の難かしさを改めて痛感すると共に,われわれの真の目的は腫瘍を消失させることのみではなくて,患者をできるだけ延命させることであることを再認識させられる.
筆者が永い間専攻してきた悪性脳腫瘍の補助療法についても,未だに正しい評価法の設定に悩まされている.この場合は現在のところ補助療法による延命効果によって評価するのが,もっとも客観的であり,しかも手っ取り早いとされている(Bering, E.A.,Jr, et al.,1967).たしかに速中性子線の照射により,膠芽腫組織が完全に破壊できるようになったが,延命効果に関する限りコバルト照射と大差がないという報告もある(Parker, R.G.,et al.,1976).この論文をみても膠芽腫の治療の難かしさを改めて痛感すると共に,われわれの真の目的は腫瘍を消失させることのみではなくて,患者をできるだけ延命させることであることを再認識させられる.
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