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研究
脳腫瘍の治療的診断におけるCTスキャンの意義
著者: 小松清秀1 岡田洽大1 藤原敬悟1 西元慶治1 大畑正大1 平塚秀雄1 稲葉穰1
所属機関: 1東京医科歯科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1165 - P.1172
文献購入ページに移動1961年Oldendorfがcomputed tomography(CT)に関する方法論を発表し1),1972年イギリスでHounsfieldとAmbroseによりEMI Scannerが開発されて以来2,3),CTは脳疾患のX線診断機器としてきわめて重要な地位を占めるに至り,1976年春以降わが国においてもその普及はめざましい.ことに脳神経外科領域では,既存の診断機器では得がたい頭蓋内病変の形態,性状,局在を苦痛なしに即座に知り得るので,その有用性は高く評価されている4,5,6,7).
CTの発達は,単に粗大病変のみならず,小さな病巣や,病変のわずかな変化の検出を可能にした.従って特に脳腫瘍では診断の向上に貢献するだけでなく,脳腫瘍の放射線療法や化学療法の効果をそれらの治療のごく初期にCT上の変化所見から判定しうる点でも画期的である8).脳腫瘍が放射線感受性を有しているかどうかは,従来,照射前に試験開頭により組織診断を行うか,あるいは照射後に脳血管撮影などを反復するか,または照射後の臨床症状軽快を見て治療的診断を行なうかにより判断しているが,前二者は患者に多大の苦痛と危険を伴い,そのための短期間内の反復検査は事実上不可能であるし,後者は照射療法以外の補助療法による対症的治療効果の結果とまぎらわしくなり,不都合な点がある.
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