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症例
椎骨脳底動脈系の走行異常を伴ったHemifacial Spasmの手術経験例
著者: 鈴木一郎1 佐々木亮1 柳橋萬之1 土田富穂1 早川勲1 小林武夫2
所属機関: 1東京都立墨東病院脳神経外科 2東京大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.1207 - P.1212
文献購入ページに移動片側の顔面神経領域のみに限局し,発作的に起きる顔面筋の不随意的収縮をhemifacial spasmと言う.Hemifacial Spasmには,末梢性の顔面神経麻痺後に出現するpostparalytic hemifacial spasmと,眼輪筋より始まり,徐々に進行し片側顔面全体に拡がるcryptogenic hemifacial spasmとがある.このcryptogenic hemifacial spasmの病因に関しては,Schultze(1875)16)が椎骨動脈の動脈瘤を合併した剖検例を報告して以来,顔面神経の頭蓋内での種々の病的組織による圧迫が注目されている.また,Jannetta(1977)10,11)は,開頭手術により顔面神経を観察し,全例に何らかの病的組織による圧迫を認め,減圧を図ることにより良い結果を得たと報告している.
私共は最近,hemifacial spasmに対し椎骨動脈撮影を行っているが,延長屈曲した椎骨動脈の本幹が内耳口近くまで突出している1例を経験した.これに対し手術を行い椎骨動脈が顔面神経を圧迫しているのを確認し,減圧術を施行したので若干の文献的考察を加えて報告する.
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