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研究
椎骨動脈・後下小脳動脈分岐部動脈瘤に対する中枢側椎骨動脈クリッピング—実験的ならびに臨床的検討
著者: 日下利昌1 山下茂1 樫原道治1 松本圭蔵1
所属機関: 1徳島大学脳神経外科
ページ範囲:P.135 - P.142
文献購入ページに移動動脈瘤に対する外科的治療の根本は破裂を防ぐことにある.それには現在のところ嚢状動脈瘤にはその柄部をクリップすることが最も確実な手術であるが,問題は,たとえ柄部のクリップ成功しても,そのための手術過程において,主要な中枢神経組織に侵襲が加わり重大な神経学的欠損症をまねくような手術方法は適当とはいえない.椎骨動脈・後下小脳動脈分岐部動脈瘤で,それが正中線上に近く,しかも比較的高位で,斜台の尾側1/3あたりに存在するものは,上方より側頭下開頭術をおこない天幕切開をして接近するか,あるいは後頭下開頭術による手術がおこなわれている.しかしいずれの方法においても,下位脳神経や延髄に入る脳底動脈の分枝などが障害となり,これらを損傷することなく動脈瘤に接近することは難しい場合がある.また,この部に直接到達するためにはtrans-clival approachがあるが,この方法では術野も狭く,術後の硬膜閉鎖も難かしく,髄液瘻の形成,さらに感染による髄膜炎の合併などが起りやすく,成功例は数少ない.さて,われわれは最近2例の椎骨動脈・後下小脳動脈分岐部動脈瘤を経験した.まず第1例は術中やむなく中枢側椎骨動脈クリップに終ったが,その術後の臨床経過はきわめて良好で,術後血管写で動脈瘤は消失し,かつ後下小脳動脈は明瞭に写し出されるという結果をみた,そこで第2例目は,やむをえざる場合は中枢側椎骨動脈クリップを行なうことを計画し,これをおこなったところ,この例でも満足すべき結果をみた.
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