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文献概要
症例
眼窩内粘液のう腫の1例
著者: 朝長正道1 岳野圭明1
所属機関: 1福岡大学脳神経外科
ページ範囲:P.191 - P.194
文献購入ページに移動Ⅰ.いとぐち
副鼻腔に発生するmucoceleあるいはpyoceleのうち,前頭洞由来のものはその部位より診断も比較的容易であり,決してまれな疾患ではなく,頭蓋内へ穿破進入し,腫瘤として,あるいは髄膜炎や膿瘍などの感染性疾患として発症したり,眼窩内へおよび視力障害,眼球突出,眼位異常などの種々な眼症状を呈したりする.一方,篩骨洞あるいは蝶形骨洞に発生するものは,頭蓋底部の複雑な解剖学的関係およびmucoceleの進展方向による頭蓋内や眼窩との位置的関係によって多彩な症状と経過をとり,診断も困難な場合が少なくない,いずれの場合にしても罹患した副鼻腔と頭蓋内あるいは眼窩内へ進展したmucoceleとの間に交通があり,経鼻的な洞開放術によって多くは十分な減圧のえられるものである.しかしながら,もし副鼻腔との連絡が絶たれ,全く遊離したmucoceleが存在するならば.その診断も大変難しいであろうし,さらに治療も経鼻手術では効果を期待できないであろう.われわれはこのような特異的なmucoceleが眼窩内にのみ限局し,その症状,経過も非常に興味深い症例を経験したので報告する.
副鼻腔に発生するmucoceleあるいはpyoceleのうち,前頭洞由来のものはその部位より診断も比較的容易であり,決してまれな疾患ではなく,頭蓋内へ穿破進入し,腫瘤として,あるいは髄膜炎や膿瘍などの感染性疾患として発症したり,眼窩内へおよび視力障害,眼球突出,眼位異常などの種々な眼症状を呈したりする.一方,篩骨洞あるいは蝶形骨洞に発生するものは,頭蓋底部の複雑な解剖学的関係およびmucoceleの進展方向による頭蓋内や眼窩との位置的関係によって多彩な症状と経過をとり,診断も困難な場合が少なくない,いずれの場合にしても罹患した副鼻腔と頭蓋内あるいは眼窩内へ進展したmucoceleとの間に交通があり,経鼻的な洞開放術によって多くは十分な減圧のえられるものである.しかしながら,もし副鼻腔との連絡が絶たれ,全く遊離したmucoceleが存在するならば.その診断も大変難しいであろうし,さらに治療も経鼻手術では効果を期待できないであろう.われわれはこのような特異的なmucoceleが眼窩内にのみ限局し,その症状,経過も非常に興味深い症例を経験したので報告する.
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