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症例
非手術脳動静脈奇形の完全自然消失例と放射線療法後消失例
著者: 宮崎正毅1 島健1 横山登1 桑原倖利1 桑原敏1 佐々木潮1 日比野弘道1 石川進1 魚住徹1
所属機関: 1広島大学脳神経外科
ページ範囲:P.195 - P.203
文献購入ページに移動脳動静脈奇形(AVM)の手術成績は脳神経外科領域へのmicrosurgeryの導入以来著しく向上し,その手術適応も拡大されてきた.しかしなおAVMの存在部位や大きさによって,直達手術が不可能あるいは極めて困難と考えられるものも少なくない.とくに脳幹実質内に存在するもの,両側半球にまたがるもの、運動領に存在する巨大なAVMなどは直達手術の適応外とされている.保存的に治療されたAVMや種々の理由で治療を受けずに放置されたAVMの生命に対する予後,機能的予後は,脳基底核,視床,後頭蓋窩などに生じたものを除くと22),一般に比較的良好である10,14,21).われわれは昭和35年3月より広島大学第2外科および同脳神経外科において31例のAVMを保存的に治療し,内15例について最長16年,平均7.4年にわたり血管写を含めたfollow-upを行ってきた.このうち1例では手術や放射線療法を行わず出血をくりかえしているうちに,1例では60Co 5,000 rads照射後約6年でそれぞれAVMが消失しているのを見出した.これらの症例を報告すると共に自然消失の機序,放射線療法の意義について考察を加えたい.
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