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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科6巻3号

1978年03月発行

文献概要

Current Topics

脳血管攣縮寛解物質

著者: 大本堯史1

所属機関: 1岡山大学脳神経外科

ページ範囲:P.229 - P.234

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Ⅰ.血管収縮の機序
 血管平滑筋の収縮機序はなお完全に明らかにされたとはいえないが,まとめるとFig.1,2のごとくなる.αレセプターの興奮は細胞膜に結合しているguanyl cyclaseを介して,また,βレセプターの興奮はadenyl cyclaseを介して平滑筋の反応を引き起こすというのが一般的な考えである.平滑筋の収縮は,Mg,ATPの存在下に収縮蛋白であるmyosinとactinの結合によってもたらされるが,この収縮系を活性化する最も重要な因子はCaイオンである6,8,37).平滑筋細胞はα受容体が刺激されると,収縮に先だち細胞膜の脱分極を起こし,細胞膜透過性の亢進によりCaイオンが細胞内に流入し,一方ではguanyl cyclaseを介してguanosine triphosphate(GTP)が分解され,cyclic guanosine monophosphate(cyclic GMP)が増える.このcyclic G MPが細胞膜やミトコンドリアに結合型として存在するCaイオンを遊離するほか,細胞膜のCaイオン透過性を高める.こうして,細胞内に十分なCaイオンが貯留することによって,1つには収縮蛋白の活性を促進し,また一方,Caイオンはphosphorylaseの活性を高め,その結果glycogenを分解して,できたATPが筋収縮のエネルギーとして供給される8,37)(Fig.2).このさいATPaseはCaイオンによって活性化される(Fig.1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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