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脳血管攣縮寛解物質
著者: 大本堯史1
所属機関: 1岡山大学脳神経外科
ページ範囲:P.229 - P.234
文献購入ページに移動血管平滑筋の収縮機序はなお完全に明らかにされたとはいえないが,まとめるとFig.1,2のごとくなる.αレセプターの興奮は細胞膜に結合しているguanyl cyclaseを介して,また,βレセプターの興奮はadenyl cyclaseを介して平滑筋の反応を引き起こすというのが一般的な考えである.平滑筋の収縮は,Mg,ATPの存在下に収縮蛋白であるmyosinとactinの結合によってもたらされるが,この収縮系を活性化する最も重要な因子はCaイオンである6,8,37).平滑筋細胞はα受容体が刺激されると,収縮に先だち細胞膜の脱分極を起こし,細胞膜透過性の亢進によりCaイオンが細胞内に流入し,一方ではguanyl cyclaseを介してguanosine triphosphate(GTP)が分解され,cyclic guanosine monophosphate(cyclic GMP)が増える.このcyclic G MPが細胞膜やミトコンドリアに結合型として存在するCaイオンを遊離するほか,細胞膜のCaイオン透過性を高める.こうして,細胞内に十分なCaイオンが貯留することによって,1つには収縮蛋白の活性を促進し,また一方,Caイオンはphosphorylaseの活性を高め,その結果glycogenを分解して,できたATPが筋収縮のエネルギーとして供給される8,37)(Fig.2).このさいATPaseはCaイオンによって活性化される(Fig.1).
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