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症例
血友病Aに併発した急性および亜急性頭蓋内血腫の2治験例
著者: 外山孚1 石川尚之1 石井鐐二1 岡田耕坪1 伊藤正一2
所属機関: 1新潟大学脳研究所脳神経外科 2新潟大学第1内科
ページ範囲:P.275 - P.279
文献購入ページに移動伴性劣性遺伝による家族性疾患の1つである血友病Aは,深部組織出血,凝固時間延長を特徴とし,第Ⅷ因子(抗血友病性グロブリン)欠乏による内因トロンボプラスチン形成障害を基礎的病態とするものである.近年血液凝固に関する研究の著しい進歩により血友病患者の皮下出血,関節内出血,骨折等の処置は安全かつ効果的に行われるようになり,その死亡率も減少の一途を辿っている.しかし血友病患者の3.4-13.8%に合併する頭蓋内出血5,8,17)は,その死亡率がきわめて高いといわれている.われわれは最近,外傷後頭蓋内出血をきたした2例を経験し,1例は血腫除去術により,1例は保存的療法により治癒し得たので若干の考察を加えて報告する.
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