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研究
定量的脊椎・脊髄損傷の一実験法
著者: 池田公行1 山形省吾1 中埜賢1 谷栄一1
所属機関: 1兵庫医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.331 - P.339
文献購入ページに移動1911年にAllen2)が定量的な脊髄損傷の実験方法を報告して以来,この方法が現在にいたるまで広く用いられている1,9,34,36).同時に脊髄損傷を多面的に研究するために多数の実験方法が考案されている7,14,15,20,21,25,26,30,31,33,43,44,47,48).また特殊な治療法3,19,45,46)に脊髄の損傷が合併して発生する場合もあると報告されている.最近Allenのweight-dropping techniqueの欠点が指摘され10,23,34,41,44),いわゆるAllenの方法を用いている研究者の実験結果の不一致の原因が検討されている18,29).
重症の脊髄損傷の発症のmechanismとしては,頸椎においてはflexion injuryまたはhyperextension injuryに伴うluxation,dislocationまたはfracture-dislocationが重要視されており,腰椎においても類似の損傷および椎体の圧迫骨折などが指摘されている.胸椎は,胸郭の一部を形成しているという解剖学的な関係のため,過剰な屈曲や伸展運動が起こりにくく,胸椎の損傷は,脊柱の長軸方向に加わる外力によるか,または個々の胸椎に直接作用する外力によって起こる.
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