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聴覚性脳幹反応—記録法と臨床応用
著者: 橋本勲1 石山陽事2 戸塚元吉3 江部充2
所属機関: 1東京都立府中病院脳神経外科 2虎の門病院生理学科 3虎の門病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.431 - P.436
文献購入ページに移動近年,ヒト頭皮上より検出される聴覚性誘発反応について潜時が10msec以内のきわめて小さな一連の電位変動が注目されている.この電位変動は7つの波成分より構成され,再現性に富み,意識水準の変化や麻酔の影響を受けにくい,きわめて安定した反応であることが知られている.この反応の起源が脳幹聴覚路にあると推測されることから,一般には聴覚性脳幹反(brainstem auditory evoked responses,BERあるいはBSR)と呼ばれているが,far field acoustic response1)あるいはfas vertex responseeと呼ぶ研究者もいる.いずれにせよ,本反応が最近注目されるようになったのは,すでにいくつかの臨床報告から,本反応を用いた脳幹障害の診断への期待であり,その有用性について余り異論はない.しかし本反応は発見されてからまだ日も浅く,その電気生理学的基礎について,未解決な多くの問題が残されている.本論文では,この反応を理解する土で必要な記録法,生理学的な基礎および臨床応用について,われわれの得た知見を中心として述べる.
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