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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科6巻5号

1978年05月発行

文献概要

研究

破裂脳動脈瘤の手術—その適応とタイミング

著者: 鈴木二郎1

所属機関: 1東北大学脳疾患研究施設脳神経外科

ページ範囲:P.459 - P.471

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はじめに
 一度破裂した脳動脈瘤は再び破裂しやすく,その再破裂を防ぐためにいろいろな脳神経外科的治療が開拓されてきた.すなわち,流入動脈の結紮から始まり,流入流出動脈の結紮,開頭して脳動脈瘤を筋肉や重合物質によって被覆して破裂しないように固めてしまう方法,動脈瘤柄部の遮断,あるいは窮余の一策として動脈瘤に馬毛を刺したり,銅線を刺して電流を流して動脈瘤を凝固させる方法や血流中に微細鉄粉を注入して磁石によって,それを動脈瘤内に集める方法,あるいは計測によって動脈瘤に細いX線ビームを照射して,動脈瘤を凝固してしまう方法,または脳血管内にカテーテルを導き動脈瘤内に入れてその先端のバルンを残してくる方法などが開発されてきている.しかし直接脳動脈瘤に到達して,この柄部を処置することがもっとも確実であり,有効な手段であることは事実であり,この方法が現在の主流であることは間違いない.しかし一方,脳動脈瘤の直接手術の成績は,以前はその報告者によって手術死亡率が40%から20%台とあまり感心できたものではなく12),またその追跡成績を論じている論文もきわめて少なかった.したがって確かに,内科的治療よりはまさるけれども,頸部頸動脈結紮手術よりも劣る.あるいは流入動脈だけの遮断の成績よりも悪いとする報告もみられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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