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症例
Hemophilus aphrophilusによる脳膿瘍の1例
著者: 菅沼康雄1 大家一夫1 谷川公一1 松島善治1 稲葉穰2
所属機関: 1武蔵野赤十字病院脳神経外科 2東京医科歯科大学脳神経外科
ページ範囲:P.681 - P.685
文献購入ページに移動Hemophilus aphrophilusは1940年Khairat9)によって,心内膜炎患者の血液から分離されたグラム陰性の小球桿菌である.1961年Fager4)は脳膿瘍から得た膿性物質の培養によって,同菌を同定した.Hemophilusaphrophilusによる脳膿瘍は,現在までに文献上19例1,3,4,5,6,7,11,13,14,15)報告されているが,17例が米国からで,他の国からは少なく,本邦には報告が見あたらない.この細菌は報告例の50%が心内膜炎,25%が脳膿瘍,25%が耳,咽頭,肺,骨などの感染症から分離されており,脳膿瘍を起こしやすいと考えられる.
われわれは最近,脳塞栓様症状によって発症し,脳室穿破を来し,重篤な経過をたどったHemophilus aphrophilusによる脳膿瘍の1例を経験したので報告する.
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