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症例
急性小脳梗塞について
著者: 三木一仁1 栗本匡久1 谷定泰1 池田裕1 河村悌夫1 染田邦哲1 松村浩1
所属機関: 1関西医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.707 - P.713
文献購入ページに移動一般に小脳は,その豊富な側副循環2,23)のため,小脳に限局する梗塞の発生は稀であり,また梗塞が発生しても、その機能代償性の高さゆえに明らかな症状を呈さず.剖検時偶然に発児される例も多い1,35).
しかしながら,一方では梗塞に伴う広汎な浮腫,あるいは出血性梗塞によるmass effectのため脳幹圧迫を招来し,急激に致死的経過をとる例の存在が知られている.この様なacute uncomplicated cerebcllar infarction35)に対する早期外科的減圧術の必要性と有効性に関しては,1956年,Fairburn and Oliver6)およびLindgren22)の報告以来しばしば述べられているが,その手術例の報告は極めて少ない,これは,前述した理山から小脳梗塞の発生頻度が少ないことに加えて,臨床診断が必ずしも容易でないこと,経過が急激なため手術時期を逸する例のあることがその理由と考えられる.しかしながら,近来専門的知識の普及や診断技術の進歩により,これらの症例のうちかなりのものは救命しうるものではなかろうか.
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