文献詳細
文献概要
研究
脳動脈瘤破裂に伴う脳血管攣縮に関する脳血管写上における検討(第1報)—くも膜下出血発作と脳血管攣縮発現の時期
著者: 新妻博1 郭隆璫1 大井隆嗣1 片倉隆一1 溝井和夫1 鈴木二郎1
所属機関: 1東北大学脳疾患研究施設脳神経外科
ページ範囲:P.749 - P.755
文献購入ページに移動脳動脈瘤破裂後に,脳血管攣縮(以下spasmと略す)が発生する事は既に広く認められ,その発生メカニズムあるいは治療・予防に関する研究についても枚挙にいとまがない.一方,脳血管写によるspasmの証明は,既に1951年Ecker and Riemenschneider4)によってなされているにもかかわらず,それ以後脳血管写上から臨床的にspasmの詳細な検討を行なっている報告は思いの外少ない.その理由としてSpasmそのものが否定的な見かたをされていた時期があったということの外に,単に脳血管写上narrowingが認められたとしても,それを動脈硬化,脳圧亢進,mass effect,血管の形成不全,laminar fiow等と鑑別することは必ずしも容易なことではなく,また統計学的に詳細な分析を試みようとする場合,かなりの母集団を必要とすることも大きな原因の1つになっていたと考えられる.
われわれの教室では,1961年6月から1975年9月までの間に,嚢状脳動脈瘤頭蓋内直接手術例数が1,000例を越えるに至ったが,これを機にSpasmそのものの動態を脳血管写上からどこまで究明できるかについて,種種の角度から分析を試みてみた.本論文ではくも膜下出血発作から脳血管写までの期間とspasmとの関係について検討した.
掲載誌情報