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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科6巻8号

1978年08月発行

文献概要

研究

Anterior Cervical Discectomy with and without Fusion—その臨床および実験的考察

著者: 山本勇夫1 黒川健甫1

所属機関: 1クリスト病院脳神経外科

ページ範囲:P.781 - P.787

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 頸椎前方固定術(ACDF)は頸椎々間板ヘルニアの最も効果的な治療法の1つであるが,最近骨固定を行なわないanteriorcervical discectomy(ACD)のみでも有効であるという報告がみられる.そこで我々は骨固定が必要であるか否かを検討する為,臨床例の手術成績と,犬における椎間板除去後の治癒過程について検討した.急性頸椎々間板ヘルニアの症例においてACDF及びACDそれぞれ20例の手術成績は,両群共90%で良好な成績を示した.レ線上では,ACDの術後に椎間腔の狭小化や頸椎のalignmentの不正を認め,特にanterior angulationはC4-5,C5-6で著明であった,しかしこの傾向は次第に軽減し,6カ月後には75%の症例で良好なalignmentに復した.椎間腔の狭小化はむしろC6-7,C7—Th1で著明であった.レ線上椎間腔の骨形成は,ACDFでは6カ月,ACDでは2-3年を要した.但しこれらのレ線的所見と手術成績との間に相関は認められなかった.犬における椎間板除去後の骨形成過程は,ACDFでは6-8週でACDでは6カ月程で椎間腔が骨成分で占拠された.以上の結果から,ACDは急性頸椎々間板ヘルニアに対する安全かつ効果的な治療法であり,骨固定を省略することにより手術が簡略化され,骨固定による種々の合併症も防止することができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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