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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科6巻9号

1978年09月発行

文献概要

研究

硬膜外腫瘍による脊髄圧迫—実験モデルの作製と病態に関する研究

著者: 池田宏也1 生塩之敬2 早川徹2 清水恵司2 最上平太郎3

所属機関: 1国立大阪病院脳神経外科 2大阪大学脳神経外科 3大阪成人病センター脳神経外科

ページ範囲:P.891 - P.898

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I.緒言
 転移性硬膜外腫瘍による脊髄圧迫はneurological emergencyの1つであり,放置すれば速やかに極めて悲惨な状態を惹起する.剖検によれば癌患者の約5%に発生していると報告されているが3),近年悪性腫瘍に対する治療が進歩し患者の生存日数が延長するとともにこの神経系合併症の頻度は高くなる傾向にある.しかしこの疾患の治療法については議論が多く,いずれの方法によっても未だ満足すべき結果は得られていない5,14,24).その主な理由として臨床的研究が困難であり,また実験的にも今迄適当な実験モデルがなかったことなどにより系統的研究が少なく.この疾患の病態に不明な点が多いことがあげられる.
 最近Ushioら21)はラットの第12または第13胸椎椎体前面に経皮的にWaker 256腫瘍を注入移植する方法で硬膜外腫瘍の実験モデルを作製することに成功した.彼らはそれを用い腫瘍による脊髄圧迫の病態の一部を明らかにし,さらにステロイド,化学療法,放射線療法,減圧椎弓切除術などの治療効果につき比較検討した22).しかしこの実験モデルは小動物であるラットを使用したため種々の操作,観察に制限があり,また実験腫瘍として使用したWalker 256 carcinosarcomaは,化学療法によく反応する腫瘍であり,必ずしも臨床にみられる各種の転移性腫瘍を代表していない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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