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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科7巻1号

1979年01月発行

文献概要

Current Topics

Sheroid

著者: 野村和弘1

所属機関: 1国立がんセンター脳神経外科

ページ範囲:P.33 - P.36

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 脳腫瘍に限らず固形腫瘍の生長には血管の増生が1つの重要な因子となっている8).即ち血管に近接する部分にある腫瘍細胞は酸素や栄養を充分与えられて増殖も旺盛であろうと考えられるし、逆に血管から遠位の部位にある腫瘍細胞は酸素も栄養も充分受け取れないでいる可能性が高い.従って一口に腫瘍といってもその環境の違いから壊死状態の部分は別にしても最低2つの部位にわけられる.血管から遠位にある細胞はhypoxicな状態にあり,栄養状態も充分でなく,生長解析からみると,いわゆるG0(resting)cellが大きい割合を占めていると考えられる細胞群である.一方血管に近接する部分にある細胞群は,prolife-ating cellが大きな割合を占めていると考えられる.前者のanoxicな細胞群は放射線治療に対して抵抗性が強い,化学療法の側からみると,血管から遠位に存在するということで,薬剤の到達度は低くなり治療が困難である.その上一般的にはG0細胞は薬剤耐性が強いと考えられている治療に抵抗する細胞群なのである.星野の報告によると悪性脳腫瘍のviable portionを選沢してさえもこの様なG0細胞が60-70%存在するというのである3).従って単層培養による研究dataのみからin vivoの治療を考えることは随分と大きい飛躍がある,事実in vivoとin vitroつの効果が一致しないということはよく指摘されることである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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