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症例
晩発性Arnold-Chiari奇形(2型)—CT所見を中心に
著者: 江頭泰平1 吉井与志彦1 牧豊1
所属機関: 1筑波大学脳神経外科
ページ範囲:P.1083 - P.1087
文献購入ページに移動成人で発症するArnold-Chiari奇形について,その晩発性についての原因は不明である.診断については,Applebyら1)は,背臥位にてのmyelographyの有効性を述べているが,一方Nortonら10)は,高齢者での危険性を指摘している.手術については,脊髄空洞症の合併の有無が問題とされている1).脊髄空洞症合併例では,それが髄液循環障害による,hydromyelia5)ないしは,交通性脊髄空洞症3)であるとの考えから,脊髄空洞症の症状が出現したらできるだけ早期に手術すべきであり1,3),第1,第2頸椎々弓切除術を含む後頭蓋窩減圧術のみとするもの1),あるいは脊髄中心管の髄液貯溜を妨げる諸方法を加えるのが良いとするものがある3-5,7,12).
今回,著者らは,50歳と比較的高齢で発症し,CTスキャンにて交通性延髄空洞症の合併を診断でき,後頭蓋窩減圧術に脳室・腹腔短絡術を加える事により術後良好な成績を得たArnold-Chiari奇形2型の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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