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研究
脳疾患に対するβ-methasoneの大量療法
著者: 神保実1 川崎嶺夫1 杉森忠貫1 喜多村孝一1
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科
ページ範囲:P.149 - P.157
文献購入ページに移動脳浮腫の治療法の1つとしてのステロイドホルモンは脳神経外科の臨床に定着しており,その有効性を支持する報告は枚挙にいとまがない.しかしながら,一方では,ステロイドが無効であったとする実験的,臨床的報告も少なからずみられる.脳神経外科的な種々の病態のなかには,ステロイドが著効を示すものと余り効かないものとがあることは日常経験するところである11,19).また,ステロイドはvasogenic edemaには有効であるが,cytotoxic edemaには効かないとも云われる15,16).
しかし,日常臨床で遭遇する脳浮腫はほとんどvasogenicであり,主た脳浮腫は本来脳の非特異的な反応でほとんど大部分の脳神経外科疾患にみられるから,もしステロイドが脳浮腫に有効であるなら,ほとんどの脳神経外科的疾患に対して,程度の差はあれ有効なはずである.しかるに,各疾患によってステロイドの有効性に差があるということには何らかの原因があると考えられる.
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