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症例
縊死未遂による頸部内頸動脈閉塞症の1例
著者: 大西俊輝12 滝本昇1 尾藤昭二1
所属機関: 1大阪厚生年金病院脳神経外科 2現籍・大阪府立成人病センター脳神経外科
ページ範囲:P.265 - P.269
文献購入ページに移動鈍的外力による内頸動脈閉塞症は,1872年Verneuil29)が報告した鉄道事故による症例以来,現在まで200例近い症例が報告されている.多くは交通外傷を代表とする様々な不慮の事故によるものである.今回著者らが経験した症例は,縊死を企て未遂に終った後に出現した例で,頸部索条痕(縊痕)に一致する頸部内頸動脈閉塞症である.縊死に際し頸動脈閉塞を認められた報告例は極めて少なく,1944年のNorthcroft20)の報告からでもわずか数例にすぎない4,22).本症例は未遂に終ったがため,神経学的異常所見を呈し,このため内頸動脈壁の損傷を発見された極めて特殊な例である.一般に縊死に際しては,窒息現象が主に観察されており,頸動脈閉塞による脳循環障害のもたらす影響は軽視されている5,6,28).この点,本症例は多くの示唆を与えるため,若干の文献的考察を加え,ここに報告する.
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