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研究
テント下腫瘍におけるTranstentorial Upward Herniationの臨床とレ線所見
著者: 阿部俊昭1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.345 - P.354
文献購入ページに移動頭蓋内に腫瘍,膿瘍,血腫などの占拠性病変が生ずると頭蓋内の内容が増加し,圧が亢進する.そしてテント上下に圧差が生ずると,テント切痕を境として脳嵌頓が発生する.
脳嵌頓のうち臨床上最も重要なのは,Meyer(1920)15)が報告したtranstentorial downward herniationであり,その臨床的意義およびレ線所見に関しては多くの報告がある2,3,9,10,16,24).一方後頭蓋窩に占拠性病変が生じ後頭蓋窩の圧が高まると,小脳および脳幹が上方に突出する,いわゆるtranstentorial upward herniationを生ずることがあり,さらにこのherniationは減圧を目的とした脳室穿刺にて増強し,患者は急速に重篤な状態に陥ることがある.この様なtranstentorial upward herniationがテント下腫瘍にて発生することは,Cairns(1937)5),Rapoport(1938)3),LeBeau(1938)13)らが指摘し,Ecker(1948)7)はこれを"Inverted Tentorial Pressure Cone"と呼び,大部分のテント下腫瘍に認められると報告している.
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