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症例
髄液腔と交通せるpre-sacral epidermoid cyst
著者: 中村三郎1 片桐丈之1 馬島瑩郷1 若松健一1 坪川孝志1 森安信雄1
所属機関: 1日本大学脳神経外科
ページ範囲:P.389 - P.395
文献購入ページに移動中枢神経系における類上皮腫は全脳腫瘍の0.2-1%を占める6,8,14).本邦においても山村16)の症例以来多くの報告がみられ5,8,10,11,12),現在ではもはや稀れな腫瘍とはいえない.また,中枢神経系における全類上皮腫および類皮腫のおよそ1/4が脊椎管に発生すると報告されている15).この脊椎管に発生する類上皮腫および類皮腫には,先天性皮膚洞やpilonidal sinusを合併するもの主たは脊椎破裂を合併する例7)がしばしば報告されているが,いずれも嚢腫は脊椎管内に在って,脊髄の圧迫障害主たは馬尾の障害による症状を呈するものである.さらに,合併する皮膚洞やpilonidal sinusから感染して髄膜炎が発症した症例も報告されている2).
われわれは,仙骨の前方に位置した類上皮腫が髄液腔と交通し,髄膜炎の発症によって発児された稀有な症例を経験したので報告する.
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