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総説
プライマリ・ケア—脳神経外科との関連で
著者: 植村研一1
所属機関: 1浜松医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.417 - P.421
文献購入ページに移動はじめに
最近プライマリ・ケア(primary care)という言葉がよく聞かれるようになったが,適切な日本語訳がないためもあって,その意味は使う人によってかなりのずれがあるようである.殊に高度に細分化された専門医療の担当者や医学教育者が,ややともすれば,自分達とは何か縁遠いもののように感じ,その真意と真価を認識しようとしないところに,他の先進文明国に比し,わが国の医療と医学教育におけるプライマリ・ケアの水準の格段の立遅れがあるように痛感されてならない.
高度の臨床専門分野の1つである脳神経外科を例にとってみても,その学問や診療技術の水準は国際的に一流のレベルのものではあっても,頭部外傷にしろ脳血管障害にしろ,脳神経外科的問題を持つ患者の大半が一般外科医や一般内科医などより受けている医療の内容は,必ずしも適切なプライマリ・ケアといえないものが多々あるようである.これは,わが国でプライマリ・ケアを担当させられている一般実地臨床医の責任というよりは,脳神経外科医とその教育者の責任といった方が当を得ているように思う.
最近プライマリ・ケア(primary care)という言葉がよく聞かれるようになったが,適切な日本語訳がないためもあって,その意味は使う人によってかなりのずれがあるようである.殊に高度に細分化された専門医療の担当者や医学教育者が,ややともすれば,自分達とは何か縁遠いもののように感じ,その真意と真価を認識しようとしないところに,他の先進文明国に比し,わが国の医療と医学教育におけるプライマリ・ケアの水準の格段の立遅れがあるように痛感されてならない.
高度の臨床専門分野の1つである脳神経外科を例にとってみても,その学問や診療技術の水準は国際的に一流のレベルのものではあっても,頭部外傷にしろ脳血管障害にしろ,脳神経外科的問題を持つ患者の大半が一般外科医や一般内科医などより受けている医療の内容は,必ずしも適切なプライマリ・ケアといえないものが多々あるようである.これは,わが国でプライマリ・ケアを担当させられている一般実地臨床医の責任というよりは,脳神経外科医とその教育者の責任といった方が当を得ているように思う.
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