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研究
頭蓋内原発germ cell tumor
著者: 有田憲生12 生塩之敬12 早川徹12 渡辺優13 前田泰孝14 金井信博14 最上平太郎1
所属機関: 1大阪大学脳神経外科 2現籍・大阪府立成人病センター脳神経外科 3近畿大学脳神経外科 4豊中市民病院脳神経外科
ページ範囲:P.465 - P.474
文献購入ページに移動睾丸に発生するgerm cell tumorは,Dixon and Moore9)による分類以来,seminoma,teratoma,choriccarcinoma,embyonal carcinomaの4基本型に基づく分類が試みられてきた.一方,松果体腫瘍では最も頻度が高く,"pinealoma"と呼ばれてきた腫瘍が睾丸に発生するseminomaと同一の病理組織像を示すことがRussell27)により指摘され,さらにFriedmann10)はこの腫瘍に対し"germinoma"という名称を提唱した.その後,seminomaのみならず睾丸に発生するすべての型のgerm cell tumorが頭蓋内にも原発性に発生することが確認されている.従来,頭蓋内原発germ cell tumorは松果体部に多発するため,pineocytoma, pineoblastomaなどとともに松果体腫瘍として扱われることが多かった.しかし,頭蓋内原発germ cell tumorは松果体部に限らず視交叉部などにも原発する点や,病理組織学的に特異な組織像を呈すること,腫瘍のあるものはhumanchorionic gonadotropin(HCG)を産生すること,また臨床的には尿崩症,思春期早発症を伴うなどきわめて特徴のある腫瘍であり,松果体部腫瘍としてよりもむしろgerm cell turnorという概念を重視すべきであると考えられる.
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