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研究
最近の髄液循環に関する知見に立脚した水頭症再分類の試み
著者: 苧坂邦彦1 森惟明1 半田肇1
所属機関: 1京都大学脳神経外科
ページ範囲:P.475 - P.485
文献購入ページに移動19世紀末から今日にいたるまで「髄液は脈絡叢から産生されくも膜顆粒より吸収される」と一般に考えられてきた3,25,76).水頭症の病因もこの考えにしたがって考察され,大部分の水頭症は脳室系またはくも膜下腔など脳をとりまく髄液循環路の閉塞によって生ずるとの考えから74,99,100),閉塞部の開放術(中脳水道のcatheterization,第4脳室孔開放術)あるいは閉塞部に対するby-pass設置(Torkildsen手術,third ventriculostomy)などの治療法が試みられた18,23,24,64,74,106,112).このように水頭症の原因を主として脳をとりまく髄液循環路の障害におく考えは現在も水頭症の分類および治療指針の根底をなしている44,74).
しかし近年髄液の産生吸収が脳室壁およびくも膜下腔においてもなされていることが指摘され髄液循環の概念は大きく変わりつつあり75,105),当然水頭症の病因およびその分類も新しい概念にそって再検討されるべきである.
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