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症例
一卵性双生児の第1子にみられた側頭部くも膜嚢腫
著者: 小原進1 中川義信1 上田伸1 松本圭蔵1 谷本邦彦2
所属機関: 1徳島大学脳神経外科 2高松市民病院脳神経外科
ページ範囲:P.505 - P.512
文献購入ページに移動側頭部くも膜嚢腫はさほどまれな疾患ではないが,その成因に関して先天説,炎症説,外傷説等があり,その病態,治療に関しても意見の一致をみず未解決な問題が多い.最近では,Robinson8,9)に代表されるごとく先天性奇形によるものが多いとする説が優勢のようである.われわれは一卵性双生児の1児(姉)で,全身痙攣発作を主訴として来院し,開頭によるくも膜嚢腫剔出術後の長期観察を経て,後天性の原因によると思われた1例を経験した.また本例は双生児の1児にみられたものとしておそらく最初の報告例と考えられ,本疾患の成因をさぐる上で意義あるものと考え,臨床所見を呈示すると共に若干の文献的考察を試みた.
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