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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科7巻6号

1979年06月発行

文献概要

総説

脳卒中,脳動脈硬化症の研究—モデル動物による研究の進展

著者: 堀江良一12 半田肇1

所属機関: 1京都大学脳神経外科 2

ページ範囲:P.525 - P.537

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Ⅰ.序論にかえて
 1.「頭のいい人はやりませんよ」
 高血圧自然発症ラット1),Spontaneously Hyperten-sive Rats(略してSHR).今ではおよそ高血圧に興味のある人は誰でも知っている.共産圏も含めて世界50カ国300カ所以上の研究所で,ヒトの本態性高血圧の最良のモデル動物として使われている.1967年米国NIHに寄贈されるや,米国ではこれを「永久保存種」に指定,たとえSHRを使う研究者が一人もいなくなっても,SHRは国家によって永久に系統維持されていくという.SHRの確立に全身企霊うちこまれた岡本耕造博士,その灼熱の太陽のごとき情熱と,その偉業は1974年第1回国際高血圧学会賞をもって全世界の高血圧研究者のひとしく認めるところとなった.そして1976年米国科学アカデミーは「SHRに関するguide lines.2)」を出版,系統維持と使用をより厳格なものとし,より科学的な利用を徹底させるための勧告書を全世界の高血圧研究者に配布した.「こんな系統維持の仕事は頭のいい人はやりませんよ.私は田舎生れの鈍な人間なんですね…….ただ辛抱するのは人一倍強いですよ」,第1回国際高血圧学会賞をうけられた時,岡本博士は新聞紙上でこう述べておられる.その言葉の余音が今でも響いて来る.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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