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研究
小脳梗塞と減圧術の適応選択
著者: 種子田護1 金田平夫1 前田泰孝1 門田永治1 渡辺学1 南卓男1 入野忠芳1
所属機関: 1阪和病院脳卒中診療部
ページ範囲:P.555 - P.561
文献購入ページに移動脳の虚血性病変により,急性期に一過性の浮腫が発生するのは周知の事実である.そして,浮腫の発生,進展は病像の増悪に関与するとされている8).この病態に対する外科的アプローチとして,減圧術が提唱されているが4),天幕上病変に関しては必ずしも広くコンセンサスが得られていない.天幕下病変に関しては,1956年Fairburnら2)およびLindgren6)が小脳梗塞に対する減圧術の効果を報告して以来,散発的な報告がみられる1,3,5,7,9).これらは減圧術の効果が著明であるとしていることにおいては見解が一致しているが,あくまでも梗塞巣が小脳に限局している症例についてのみ触れており,脳幹を一部含んだ場合,即ち,後頭蓋窩全体を包含した情況下での検討が十分ではない.
本検討は,小脳,脳幹を共に含んだ後頭蓋窩全体の立場より,虚血を原因としてそこに発生する浮腫の臨床上の問題点を吟味し,手術適応症例の選択基準の目安を定めることを目的とする.
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