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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科7巻6号

1979年06月発行

文献概要

研究

水頭症を伴った脳室炎の治療—特にTobramycin脳室内注入による治療について

著者: 山田博是1 景山直樹1 中村茂俊2

所属機関: 1名古屋大学脳神経外科 2愛知県コロニー中央病院脳神経外科

ページ範囲:P.571 - P.578

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Ⅰ.はじめに
 水頭症の治療上予後を大きく左右する因子の1つは感染の有無である.感染はかなりの率にみられ,Schoenbaumら15)は短絡管手術後27%に感染がみられたとのべている.水頭症に伴う感染は種々のものがみられ17),脳室心房短絡術(V-A shunt)には菌血症,肺炎など,また脳室腹腔短絡術(V-P shunt)に伴うものとしては腹膜炎などが多いが,いずれの手術にもみられ,特に治療が困難であり,死亡率の高いものは髄膜炎,脳室炎の合併である.小児水頭症で脳室拡大をみる症例では脳脊髄液(CSF)感染に対する防禦機構も弱く感染を来し易く,また治療も困難なことが多い.
 また最近はOpportunistと呼ばれるGram陰性桿菌による脳室炎,髄膜炎の発生も増加してきており,多剤耐性を示す起炎菌もみられるようになってきている14,21).特にGram陰性桿菌に感受性のある抗生剤の多くは全身投与による方法では充分にCSFへ移行しないもの,また副作用の点から大量投与出来ないものも少なくない.このような症例に対しては脳室内または髄膣内投与が不可欠である.現在のところGram陰性桿菌に対して最も有効な抗生剤として知られているのはAmino-glycoside系薬剤である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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